

川崎市 佐藤hideさん
川崎市にお住まいの佐藤hideさんは住宅ローンの会社にお勤めの40代のサラリーマン。
2007年4月、新築マンションの購入をきっかけに、マンションの一室を趣味のサックスを楽しむための
防音室にした。防音性能、吸音パネルの色、デッドスペースの利用など、細部にまでこだわりと工夫が
なされている佐藤さんの防音室を訪問、詳しくお話を伺った。
| ■3年前にサックスを始める |
--佐藤さんのご職業と家族構成、そしてサックスとの出会いについて教えてください。
東京都内の住宅ローンの会社に勤務しています。家族は妻と二人暮しです。サックス歴は3年。
始めたきっかけは、中年の山場という人生の折り返し地点にやっ てきたので、このへんで真剣に自分の
やりたいことについて考えてみようと思い始めたのがきっかけです。一生つきあっていきたいものは何かを
ずっとぼんやり 考えていたら、ある日サックスで唄ってみたいと思ったんです。
| ■自宅にプロスタジオ並の防音室 |
--今回ご自宅に作られた防音室の概要をお聞かせください。
今年(2007年)4月、川崎市内に3LDKの新築マンションを購入しました。その竣工とほぼ同時に、玄関の
隣の約6畳の洋室を防音室にしました。当初の予定工期は2週間、見積り費用は約300万円でした。
防音性能はD70にしてもらいました。これはプロスタジオ並、またはそれ以上の性能です。
一般家庭のピアノ練習室がD45程度であることを考えると少し贅沢かとも思いましたが、そもそも防音室を
作る目的はただ一つ、音で近所に迷惑をかけないためですから、性能に関しては万全を期したかったのです。
--実際使ってみてD70の防音性能はいかがでしょうか。
自宅の外への音漏れはありませんでした。ここは最上階なので上階は気にする必要がないのですが、
心配なのはお隣、そして階下でした。迷惑をかけるかもしれないお宅には環境スペースの方が工事後に
伺って音を計測させていただきました。お隣が28~31デシベル、階下が26~31デシベル。
全く聞こえないというレベルです。この計測結果 には胸をなでおろしました。
実際にはD70までの性能は必要なかったのかもしれませんが、これで正解だったと思います。

| ■それまでどこで練習をしていたか |
--ご自宅にサックス室を作るまでは、どこで練習をされていましたか。
サックスは音が大きい上に消音ができないので練習場所に困る楽器です。
私の場合、最初は近所の公園でした。が、まわりにマンションがあるので夜遅い時間は練習できない。
次に貸スタジオを使いました。しかし、貸スタジオは、バンドが優先。個人練習だと空いていれば貸して
もらえるという状態で、前もって予約することができない。運良く借りられたとしても自分の好きな時間に
連続で使うことが難しく、1時間借りて、1時間待って、また1時間借りるというように、非常に不便でした。
土日は、片道1時間ちょっと車を運転して埠頭へ行き、倉庫街で練習をしました。
海風に吹かれて力いっぱい吹くのは気持ちのいいものでしたが、行き帰りに時間をとられるのと、
屋外の練習は天候に左右されるのが難点でした。
サックスの腕が上がれば上がるほど、練習場所確保のストレスを感じます。1年前ぐらいから自分の家に
防音室があればいいなとぼんやり思うようになりました。が、費用を調べると数百万円もする。
自分の趣味にそんな多額のお金を使うことには何となく抵抗感がありました。当時の私にとって防音室は
現実的なものではなく、無理だとあきらめていました。
| ■防音室を作ることになったきっかけとは |
--費用がかるから無理だと思った。でも実際防音室をお作りになりました。何がきっかけでしたか。
妻のひと言がきっかけです。このマンションを購入することが決まったとき、ひとつ問題がありました。
当時住んでいた中央線沿線には貸スタジオがありました。が、新しい住まいの近辺にはほとんどない。
適当な練習場所がなくなってしまったのです。練習するにはもう埠頭か川辺くらいしかないな、と暗い
気持ちになっていました。
すると、「もしあなたがサックスを一生の趣味にするなら練習場所は大事。
この機会に家に防音室を作ってみては」と妻が言ってくれたのです。
妻は練習場所に苦労している私をそばで見ていて気の毒と思ったのでしょう。
また、妻もギターでボサノバを弾く音楽人間ですから、その点は理解がありました。
たしかに、新築マンションの入居時というのは防音工事の施工にはいいタイミングです。
エレベーターやエントランスは既に養生されているし、早めにやれば近 隣の方がまだ入居していない
可能性もあります。工事による近隣の迷惑を最小限に抑えられると思いました。
そこで、マンションの竣工に合わせて工事をするべく、防音工事をする業者を探しはじめました。
| ■インターネットで業者選び |
--どのように業者を探されたのでしょうか。
まず私が師事しているサックスのA先生にご紹介をそれとなくお願いしてみました。
でもA先生は「業者はいろいろ知っているけど紹介はできない」というので す。というのは、今までの例だと
工事後に必ずといっていいほど音漏れのトラブルがある。だから責任を持って推薦できる会社はないので
自分で探してくれと。
仕方がないのでインターネットで検索し、これはというところには電話で問合せをし、
無料見積もりをしてもらいました。
| ■とにかく防音性能が出せる業者を |
--どんな選定基準で業者を選んだのですか。
施工後音漏れのトラブルがよくある、というA先生のお話を聞いていましたので、とにかく防音性能が
きちんと出せることが第一の条件でした。ここがちゃんとできていないと、いくら安くても、またデザインなど
他の面がよくても話になりません。ですから、既製品の箱を部屋の中にはめ込む、いわゆるボックス型の
防音室などは、一見リーズナブルですがD45の性能しか出ないということで、最初から候補外でした。
--検討した会社は何社ありましたか?
今回施工してもらった環境スペースのほか、A社とB社、計3社です。3社ともプロユースのスタジオ施工
などをメインにしている会社ということで共通点があり、見積もり額もほぼ同額。
でも問合せをした時の電話の応対がA社もB社もあまりよくありませんでした。とくにA社などはこちらの
質問に対して答えるのが面倒くさそうで、個人客に対してはあまり熱心でないという印象を受けました。
| ■環境スペースを選んだわけ |
--3社の中で環境スペースを選んだ理由を教えてください。
理由は3つあります。1番目は防音性能を事前に確認することができたということ。2番目は部屋の形状に
ぴったり合わせたプランを用意してくれたこと。そして3番目は、防音設計責任者のF氏の対応がとても
よかったことです。
| ■「音の体験会」で実際の防音状況を確認 |
--では順番に詳しくお聞ききします。「防音性能を事前に確認することができた」とは。
環境スペースは「音の体験会」というものを開催していて、防音室のショールームで実際に演奏をして
どれぐらい防音できるかを体験できる。これはいいシステムだと思います。いくら高い数値でオーダーしても、それが実際にどの程度なのか、実際に聴いてみないとわからないからです。
体験会にはサックス持参で妻と一緒に行きました。ショールーム内で私が演奏し、妻に部屋の外で聞いて
もらいました。防音性能と音漏れの状況を確認して、妻に「これなら大丈夫かな」と言われ安心しました。
このように事前に防音性能を体験できたことは私達にとってとても重要なことでした。
| ■デッドスペースを作らない、様々なアイデア |
--では次に、「部屋の形状にぴったり合わせたプランを用意してくれた」とは。
まずマンションの平面図を見てもらい、どの部屋が一番防音室に適しているかを決めるところから始め、
部屋が決まると梁や壁の形状に合わせて最大限に広い防音室のプランを出してもらいました。
また、デッドスペースを無駄にしないように相談にのっていただき、こちらの要望を聞いていただいたのは
とてもよかったです。
例えば、どうしても部屋の隅に20センチほどの隙間ができるてしまうのですが、そこにポールを通し、
オフシーズンのコートなどをかけられるようにします。衣類が吸音の役割も持って一石二鳥というわけです。
また、防音性能を出すため共用廊下側の窓をつぶし壁にしたのですが、その時にできたデットスペースは
ドアつきの物入れにしました。ドアを作ると音漏れが発生しやすくなるのでその対策として手製の消音機を
作ってもらいました。

| ■きめ細やかなアイデア |
--3番目、防音設計担当者の方の対応がよかった、とは。
防音設計責任者のF氏が本当に親身になってこちらの要望を聞いてくださり、それを具現化してくれました。
「なるべく広いスペースを確保したい」「デッドスペースをなくしたい」などの要望です。先ほど申し上げた
デッドスペースの利用法なども、豊富な経験と細やかさがないとなかなか出てこないアイデアです。
感心するとともに、そういった一つ一つの対応が信頼できるなと感じました。
| ■ビビッドな色のKSAパネルの効果 |
--佐藤さんの防音室は、KSAパネル※が赤、白、緑のイタリアンカラーですし、壁紙もチェック柄で
楽しい感じです。これはどなたの選択ですか。
私です。KSAパネルは100色以上もある中からこの3色を選びました。伺うと今まで施工された方の
ほとんどは壁と同色の白やベージュなど無難な色を選ばれるとのこと。でも、私はここは遊んでみようと
思いました。色を変えてもプラスコストはゼロ。ならば色を工夫して限られたスペースに変化をつけてみようと。
6枚のKSAパネルの構成を、赤2枚、緑2枚、白2枚にしました。色の影響は思ったより大きく、目の前の色に
よって自分の頭の中のイメージや気分が変わ り、同じ曲を吹いても演奏の感じが変わるんです。
KSAパネルは取り外しが簡単で自由に配列を組み替えられる。だからその日の気分に合わせてどの色の
前で演奏するかを決めています。

また壁紙も白一色ではなく白の濃淡のあるチェック柄にし、視覚効果で奥行きを感じることのできる
空間にしてみました。他に床、天井、幅木、ドア、ライティングのレールの色なども自分で選びました。
こういう材質選びはとても楽しかったです。豊富なデザインの中から好きな材質や色を選べて、自分なりに
工夫できるということも、環境スペースの防音室のよいところだと思います。
※「KSAパネル」
環境スペースのオリジナルで重低音の吸音を目的とした吊下げ式音響調整パネル。部屋の大きさや目的に応じて残響時間の調整が簡単にできる。吊下げ式なので自由にパネル同士を移動できる。
詳しくはこちら
| ■最初に吹いたのは「オールドフォークス」 |
--工事は予定通りに完成しましたか。
実際に工事を始めると、赤いKSAパネルがあまり使われない色だったため予定していた納期よりかなり
時間がかかってしまうなど、予想外のことがが発生し、当初の完成時期には終了できませんでした。
ただ、納期は遅れましたが、できあがった防音室には非常に満足しています。
--どのあたりに満足していますか。
防音性能、そして自分好みの内装です。確かにフルオーダーの施工ですが、ここまで細部にわたり
「自分仕様」にしてもらえるとは予想していませんでした。 300万円はこちらが用意していたぎりぎりの
予算でしたが、この施工内容を考えると十分に納得できるものだったと思っています。
また、計測をきちんとやってくれたことがとにかくよかったと思います。工事完了後に環境スペースの方が
隣や階下の方のお宅での音の計測を行い、性能が確認されとても安心しました。
完成した「マイ防音室」での初演奏は「オールドフォークス」。
私のお気に入りの一曲を防音室にささげました。
| ■防音室のあるライフスタイル |
--防音室が出来上がって、なにか変化はありましたか。
まず、もう練習場所を探し回らなくてもいいと思うと心に余裕ができました。
それと、「マイ防音室」が手に入った。夢が現実になった。その喜びを感じてます。
ライフスタイルも変わりました。仕事から帰ってシャワーを浴びさっぱりとした後、ワインとグラスを
持ち込んで防音室に入り、ぶっ続けで5時間音と遊ぶ、なんてことができます。
やりたいことが心おきなくできる自由を感じています。
今後はセッションなども積極的に楽しもうと思っています。
将来的にはストリート演奏などもやってみたいですね。
そして定年後は本格的に音楽活動をしたいです。昼間はいろんなところでボランティア演奏、
夜はライブハウスで演奏する。そんな生活を思い描いています。
| ■防音室を作る人へのアドバイス |
--これから防音室を作る方にアドバイスがあればお願いします。
やはり、ご近所へ配慮が一番大事な点だと思います。防音室工事を行うということは、「この家では大きな
音を出します」と公言するのと一緒。ご近所の方は不安を感じるでしょう。まず、「大きな音を出しますが、
ご迷惑をかけないように消音します。そのための工事です」と最初にきちんと伝える。そして工事後、音を
計測しそれを確かめてもらい安心していただくことが大切だと思います。また、迷惑がかからないような
工事の段取りを組むことや、折々でのご挨拶も非常に大事ですね。
そして、工事中に居宅が傷つかないようにすることは当たり前のことですが、工事での出入りが多いので居宅のセキュリティ上の確保にも細心の注意を払っていただけるなどきめ細かい配慮ができる施工会社にお願いすることが重要です。また、あまりタイトな工期だと何かとトラブルが起きやすいので、ゆとりを持って工事をしていただくほうがいいかもしれません。
環境スペースさんにはいろんなアドバイスをいただき、おかげでイメージ通りのサックス室ができました。
この防音室でこれから自分の音楽ライフをどんどん広げていきたいと思っています。ありがとうございました。
お忙しい中、有り難うございました。
※取材日時 2007年7月